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2019/03/23 16:38


★★★「指」が大事★★★

↑は、銅版画「コマチ猫ざんまい」ですが、竹久夢二の美人画に触発されて作りました。
夢二さんの絵は、とにかく明けても暮れても美女ばかり出てきて、男性画は数えるほどしかありません。
出てきても、主役の女性にハナを添える脇役ばかり。
男性に興味がなかったのか(笑)。
あきらかに、熱の入れようが違います。
夢二の絵で大きな特徴は、女性の手足のサイズが大きいこと。
有名な「黒船屋」の女性なんかも、足がバカでかいです(笑)。なのに優美。
手も大きいです。
昔の女性は今より身長が低かったので、手のサイズも小さかったと思うんですが、
夢二美人画では、長く細い指が、優雅に踊ります。
「指が大事」というのは、昔、勉強に行っていた絵画クラスで先生にしつこく言われていて、
どんなに顔が綺麗な女性の画でも、指の描き方がヘタだと、一気に大根役者になってしまう。
指はそれだけ雄弁に、その人となりを語る、ということです。
少年漫画のヒーローなどは、コブシを固く握って前にパンチしたり、
ファイティングポーズをとったりしてます。
あれは、「俺は強いんだぜ!」アピールですね。


竹久夢二 「春」(「婦人グラフ」大正15年一月号)より

夢二の絵も全て、指が、手が、雄弁に語ってます。
カルタを持ったり、化粧刷毛を持ったり、髪をかきあげたり。。。
手紙の文字を、指でなぞったりするのも、女性らしくて素敵。
この「春」なんて、優雅の極みの指の描写です。
見ようによっては「ぶりっ子スタイル」とも言えます(笑)。


竹久夢二 長崎十二景 丘の青楼 (大正9年作)

この「丘の青楼」も、袖の袂をやわらか~く持って口元を隠したりして、
「あら~」なんて言ってるんでしょうか。なんともたおやかな風情です。
この女性がもし「バンザイ」してたり、「ピース!」してたりしたら、どんなに美人でも台無し(笑)。
女性の美しさを「女性よりわかってる」。
それは、とにかく夢二が愛を持って数々の女性を観察していたからでしょう。

「コマチ猫ざんまい」は、「女性と猫」という、夢二が好んだモチーフですが、
春の絵なので、生き生き・ハツラツとしたくて、猫に「手まり」を与えて遊ばせてみました。
そして「指」が一番綺麗に見えるように、手も大きめに描いています。
中国語風に漢字を並べ、「和」を意識しました★