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2019/02/24 15:11
★★★舞台の宇野さん初見参★★★
今日はちょっと自分の作品のことから離れて。
東京で唐十郎さんの戯曲「風の又三郎」の舞台を観てきました。
蜷川幸雄さんに師事していた金守珍さん演出で、美術が、あの宇野亞喜良さんなんです。
このパンフレットの絵を見ただけで、「あー宇野さんだあ!」って、ときめいてしまいました。
私が小さい頃から活躍されてて、「昭和」の偉大なスターイラストレーターというか、クリエイターです。
もう80歳越えてはるのに、まだ現役でやっておられたんだ?そこがまず驚き。
宇野さんの絵は、色っぽくてスタイリッシュで退廃的で、暗いんだけど軽やかで。
陰影をつける部分と線をラフに走らせる部分とのバランスが絶妙なんですよね。
美少年や美少女の絵は、あまりに美しくて吸い込まれそう。
大人向けのイラストだけでなく、小さい子ども向けの絵本の挿し絵も沢山描いておられるのですが、「この人の絵ってすごい」…と、子供ごころにゾクゾクした事を覚えています。
本能的に「ヤバい」感があったのでしょうね。
「風の又三郎」には、宇野さんのアイデアで「カタツムリ」がモチーフに使われています。
これが、なかなかにエロチックで。
巨大なカタツムリがノシノシ…。
風を売る人、「夜」の男、シャラララと鳴る銀の風鈴、棺桶、肉、血、菊の御紋…
色々なモチーフが次から次へと脈絡なく繰り出され、もうワケがわからないのですが、宇野さんの頭の中の「絵」が、そのまま劇場で立体化されている。
普通なら考えもつかないような、そのぶっ飛んだイメージに、圧倒されっ放しでした。
舞台はやっぱり美術を一番気にしてしまうので、宇野さんの舞台美術を初めて味わうことが出来て嬉しい。
主人公の「織部」は、精神病院から抜け出してきた青年なのですが、このパンフレットのように不思議なトレンチコートと大きなトランクを抱えていました。
宇野さんの美意識なのか(美少年を描くのはお得意ですから)、そのいでたちがめちゃくちゃ美しく。
細い体にブカブカ気味のコートを羽織っているので、「少年」感がすごい。
サラリーマンのコート姿ぢゃない(笑)。
織部が町角で会う人会う人、変な人ばかりで、この迷宮は、「狂っている彼の頭の中」の世界かも。
でもいかにも「宇野さんの絵の世界に出てきそうな人」ばかりで、面白かったです。
ああしかし、唐十郎さんの戯曲ってまったくワケワカラン(笑)。
ワケワカランをサラリと美しく視覚化してみせる手腕よ。
宇野さんのエロスエネルギー?みたいなものは、半世紀以上もお仕事されてて全然変わってない!と、感嘆せざるを得ないのでした★