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2019/02/17 13:20



★★★ふじの花を銅版画で描く★★★

少しずつ春に近付き、やっといろんな花の開花状況が聞かれるようになりました。
今、新作の大きめの版を彫っているのですが。
「藤の花」をモチーフにしています。
何回か行った「野田藤まつり」の印象が忘れ難く。
大阪の「野田」の名物です。毎年、4月の連休前から2週間ほど、見ごろを迎えます。
阪神野田駅前からスタートして、街中が「藤の花スポット」を随所にちりばめ、
地図も配られます。
役員さんはもちろん、ボランティアの人も、祭りを大切に大切に受け継いでいるのが、
とても好ましくヨソからお邪魔した身にとっては楽しいものでした。

さて。
「街中のあちこちにスポット的に藤の花が咲いていて」
「人々は祭りモードで屋台なども出て盛り上がっている」
「赤もうせんの臨時お茶屋さんとかで、抹茶とお菓子がふるまわれている」
「鉢植えの藤の花が売られている」「着物姿の人もいる」
。。。などなどの要素を一枚の絵に入れて構成しようとするも、どうにもこうにも収拾がつかない!
下絵段階で何枚も何枚も描きなおして、やっと「これだ~」にたどりつく。

それと同時に、「藤の花」って、どう描いたらいいの?
という苦しみにブチ当たります。
水彩画なら出来ます。
ポテッとしたふじいろの「しずく」の縦のつらなりを並べて描いたら、「なんとなく藤」。
誰でもそれなりに「藤」が描けます。
でも、銅版画って、基本が「色」で考えるのでなく、「線」で考えますから。
色はつけられないのです。
色は、線を彫って紙に写し取って、そのあとにつけるものになります。

「線」で「藤の花」を表現するのに、どうしたらいいのか。
↑の一枚目の写真は、「日本の文様」(平凡社)の中にある、「藤の花」の紋様の浮世絵です。
そのほかにも、「紋様」の資料を見て、どう描いているのかを研究します。
さまざまな描き方があります。
実際の写真の通りに輪郭を描いて、藤色を塗れば、それで藤になるか、といったら、そうではない。
それだと「ただ写しているだけ」になるのです。
そこに「思想」は無い。

自分が藤の花を見て、何を思ったか。どう感じたか。
豊かに感じたのか、寒々しく感じたのか、うっとうしかったのか、暑かったのか、幸福だったのか。
そのときの気持ちに一番フィットした、形状を考えるのです。
「紋様」としての「藤」も、そこに込められた「思い」があるのです(たぶん)。
だから、「単なる“”もよう”じゃん」と、侮れない。侮ってはいけないのです(たぶん)。

「藤の花」の資料は、今はネットで検索したらいっくらでも出てくる。
その多くは、雨がザーザー降り注ぐように、大きな房がまっすぐ垂れたものです。圧巻です。
でも、私は、自分が見た時に、「圧巻」は感じなかった。
そうではない。
もっと、街の人々に寄り添った、生活に入り込んできてるような、「藤」だった。
観光客が見上げてる堂々と整然とした藤ではなかった。
ではどう描けばいいのか?
苦しんで苦しんで、結局失敗するのかもしれませんが、やっと本番で、銅版に彫ってます。
彫りながらも、また苦しむのです(笑)。

試し刷りで刷ってみて「あーこりゃだめだ」なら、また彫りなおすかも。。。(すみませんこんな話で)★