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2019/01/11 19:17



★★★「コルテオ幻想」のこと★★★

「星のたてごと」を作ったら物足りなくて、「ペアになる版画」を作りたくなりました。
「たてごと」とペアになるから、楽器で考えましたが、前に「ギター座の使い」という作品はブルー系で作ったので
もうギターはお休み。ホルンやピアノやコントラバスや。。。
そうこうするうちに、冬がテーマの作品が少ないので、もう一枚も「冬の贈り物」にすべく絵柄を考えました。
「贈り物」ならばクリスマス絵柄になってしまうのですが、それだとクリスマスを過ぎると「残念」感が。
特に日本って、和洋折衷文化なせいか、クリスマスが過ぎれば「即お正月」で「即新春」なんです。
だからあまり「クリスマス限定」にしない絵を考えていました。

フィギュアスケートのプログラムで「シルク・ド・ソレイユ」という芸術サーカスの曲が頻繁に使用されるようになりました。
最初に聞いたのは「ドラリオン」。
「ドラリオン」って何やねん、と調べたら、「ドラゴン」と「ライオン」をミックスした造語(?)
劇的で華やかで、フィギュアスケートにマッチしていて、一発で好きになりました。
その後、「O(オー)」「アレグリア」「ZED(ゼッド)」などなど、奇妙奇天烈で幻想的な音楽に魅了され。
ある日スカパー!で初めて、音楽だけでなく映像を見る機会に恵まれました。

見たこともない舞台デザインの、まさに「バレエ+ミュージカル+アクロバット+マジック」みたいなサーカス。
おおまかな設定とストーリーはあるようですが、演者たちはひたすら不思議な衣装をつけて暗闇のなか、
動物になったり妖精になったりピエロになったり、雲になったり風になったり花になったり虫になったりします。
天井から吊るされたリボンに片手でぶら下がって光速回転したり、体操の「鉄棒」とか「床運動」を集団で連携ワザにして、
息を飲む超絶アクロバットにして不思議な音楽と共に魅了します。その美しさ。夢の世界です。

吸い込まれるように見ていた私は、その後ついに大阪公演の「オーヴォ(たまご)」という公演でナマを観ることが出来、
迫力の演技に酔いしれました。セリフはいちおうフランス語なんで何言ってるかわかんないのですが、ところどころ大阪弁も入れ?
日本よりよっぽどイジワルな客いじりとか(笑)、「水の芸」では前方のお客さんびしょ濡れでもお構いなし!とか、
大胆にして明快な演出も新鮮なものでした。なんか日本のサーカスとちょっと違う。ウィット?に富んでるというか。

「古い本の中から不思議な物語がモニョモニョモニョ~って立ち上がってきて、現実に飛び出したらいいのになあ」
シルクドソレイユを観てから、何かそんなイメージが浮かび、それは「古いサーカス一座が活躍する」物語でした。
国籍は不明。文字も不明。誰のためにいつ書かれたかも不明。そんな物語。
冬の平原にソリが走ってる。それはヒゲをたくわえた老人が走らせている。
サンタクロースのようなそうでないような。
夜空を最初、濃いブルー一色にしていたらしっくりせず、一度腐食した版を削って白くしました。
そうすることで「白いもや」のようにしたかったのです。
ところが削り過ぎて、空が真っ白になっちゃった!(夜空じゃないやん・星はどこいった)
あわててもう一度、空を作り直して…今度はグラデーションがギクシャクして汚い。
しかし、グラデーション(濃淡)が綺麗過ぎても機械的で美しくない。
何度も何度もやり直して、やっと納得のいく「空」にこぎつけました。

右端のページの下からのぞいてる子は、髪型が横山ノックで(笑)。「前髪がくるん」ね。
後ろの男の子も、横山ノックに負けない変わった髪型にしようと、あれこれ考えました。
結果、日本の「髷(まげ)」を変形させたような髪型になりました。
衣装は、「中近東」のイメージで、でもサンタクロースで、髪型は日本?
ワケわかんない一枚ですが(笑)、こういう時はタイトルがまた苦しむ苦しむ。
振出しに戻って、私を魅了した「コルテオ」をつけさせてもらいました。
しかし、シルク・ド・ソレイユを絵にするって、ほーんと難しいですね。
多くの人に見て欲しいです。幻想のサーカス★